ちょっと一服


昔は、ちょっと一服といって、気分転換や一休みの時はどこでも平気で煙草を吸っていたものだが、最近の日本はルールもモラルも一人前になり(つつあり)、そうはいかなくなった。まあ、僕もかなり前に禁煙したので、そんな習慣は無くなってしまったが、やはり小休止は必要である。そんな時の小道具は、今はお茶か水、ということになる。ストリートをやっていて、小休止をする場合は、あれこれ考えてみるがやはりこれしかない。この脇役がないと単にボーッとするだけになってしまい、他にやることもないし、どうにもカッコがつかない。しかたがないので、ちょっともったいないが自販機でお茶か水を買って、一応用意しておく。もちろん生理的に必要になることも多いが・・
さて、小休止には別の意味もある。休みなしに演奏を続けていると、お客さんとのコミュニケーションが取りずらく、なかなか広がらない。そのとき、お茶を一杯飲む時間を持つと、興味のある人はそこをめがけて、近づいてくる。会話が始まる。進行上の貴重な時間である。
春を通り越してしまったような陽気の中、出掛けた昨日の上野御徒町駅。昼間から少しほろ酔い加減のおじさん一人。リクエストされた曲が・・何とハーレムノクターン!どう考えても昼間には合わない曲だが、聞き手がいる、ということでしっかり演奏した。他にも何曲かリクエストのやり取りがあったが、帰り際、何と五千円札出して、お釣は三千円でいいよという。その三千円で、帰りに一杯引っ掛けて帰るという。で、僕は、二千円も投げ銭は要らないから、と四千円渡して、これでもう一杯余計にやって下さい、とそれこそ余計なこと言って釣銭を渡した。
投げ銭でお釣を渡す・・あんまりない・・いや初めてだ!
一服しつつ、通行く人との会話が始まる。素敵なことだと感謝している。

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