捨てるのは罪

マンションの外階段を下りて行くとき、足元にタバコが数本落ちていた。周りに吸い殻などがないことから、誰かが何かの拍子にタバコの箱からこぼれ落として、気づかずに行ってしまったんだろうな、と想像出来た。落ちているタバコをそのままにも出来ず、拾ってゴミ置き場へ，と思ったがよく見てみると、汚れも無くちゃんと立派なヤツが3本ある。要するに新品だ。僕の信条として新品を捨てることは出来ない。瞬間、良からぬ考えが頭をよぎる。・・とりあえず部屋に連れ帰ることにした。

僕は煙草をやめて久しいが、気分転換をしたい時などに、たまに吸いたくなることはある。友人が吸っているのを見ると無性に吸いたくなり、ついつい“もらいタバコ”をしてしまうこともある。やめてはいるが、タバコの魅力は分かり、少しクラクラしながらも、美味しく味わうことは出来る。そんなタバコの新品をそのまま捨てるわけにはいかない。“言い訳”は出来上がった。
”捨てるわけにはいかないタバコ”を、一日１本づつ3日かけて吸ってしまった。ちょっとイヤしい僕。でもタバコは自分の仕事を全う出来、喜んでいたと思う。

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