永遠なるもの


最近、JVC(日本ビクター)製のハイビジョンビデオカメラを買った。特別目的がある訳ではないが、ケイタイとほぼ同じ大きさで値段も手頃なので、体験用として手に入れてみた。しかし鞄に入れっぱなしで、時折人に自慢してみせる時以外はほとんど取り出すことがない。やっぱり僕はカメラ派なのかな、などと思ったりしているが・・それはさておき。
この手の機械は以前は回転する部分や複雑なメカニズムが沢山あった。記録するテープやディスクなどを駆動するモーターを使った部分が多用されていた訳だが、最近、記録メディアは各種のメモリーチップに取って代わられつつあり、メカ部分はドンドン減って来た。デジタル化に伴い記録メディアの固体化が急速に進んでいる。僕から見ると、これはもう本当に偉大な進歩である。メカニカルな制約から解放されるということは、いつも何らかの機械的トラブルにおびえていた時代から見ると、全く夢のような話しだ。
僕の場合、レコーディングスタジオでプロ用テープレコーダーなどの厄介なメンテナンスを担当していたこともあり、レコーディング最中のトラブル発生など絶体絶命の悪夢体験なども数しれず・・(実際に夜中にウナサレルこともあった)。従ってこの手の変革は特に感無量である。悪夢からの解放だ!体験した者にしか分からないのだ!
・・それはそれで結構なことなのだが・・やはりアナログチックなメカの持つ魅力は深く、侮りがたいものがある。最近急速に身の回りから消えつつあることに、寂しさと郷愁を覚えるのである。
だがしかし!そんな中で、永遠に光り輝く、いかなるものも足を踏み入ることを許さない究極のアナログ「マシーン」があった!マシーン訛って「ミシン」、元祖ソーイングマシーン!

この魅力溢れるメカニズムを持つ機械がどうしても欲しくて、買ってしまった。最新型は家庭用といえどもビックリするぐらい高いので、ミシン屋さんに頼んで、中古品を見つけてもらった。2万円也。安いか高いかは別として、お金の問題ではない!と思わせるに充分の納得の価値、内容の機械だ!ミシン内部の、複雑で洗練されたメカニズムは美しく、完璧なバランスで見ていて飽きることはない。人類の叡智の極み、結晶なのだ。(以前小さなミシンを分解して大いに感動した。元には戻せなかったが・・)
200年以上の歴史を持ち、全人類の生活を支え、人々とともに進化して来た「ミシン」。最近でこそ電気エネルギーを使用するが、以前は人力で充分に活躍していた元祖エコマシーン。そのマシーンが自分の手元にある、というだけで感動なのである。人が存在する限り、人とともにある永遠のメカニズム「ミシン」を僕は遂に手に入れた!
ただ、使用するのは、僕が今まで“手縫い”で頑張って来た「雑巾」とか「台布巾」などの“製造”・・である・・当面は。

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