TOMAの昔話「静寂を創り出した男 Ray Dolby」

SAXとは関係ありません。
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「TOMABECHIさんはジョン・レノンに似てますね〜。僕は仕事で彼のところによく行くんですよ・・」

ビクタースタジオでメンテナンスエンジニアをしていたころ、イギリスのドルビー研究所の社員がそんなことを言っていた。
僕はビートルズに特別の想いがあった訳ではなかったので「ああそうすか・・そりゃどうも」で終わってしまった。。と、おぼろげに記憶している。

数十年前のアナログ録音時代。音楽はテープレコーダーで磁気テープに記録、そこではテープヒスノイズというものに悩まされていた。
録音したものを再生すると必ず「サーッ」と言うノイズがつきまとって来る。この録音方式ではどうすることも出来ない宿命であった。
テープに録音出来る最大のレベルと、ノイズに音が埋もれてしまう最少レベルの間に音楽を押し込めなければならなかった。
そのための装置は色々開発されていたが、ノイズを消し去るような装置はなかった。

そこに救世主登場!
その厄介者のノイズを魔法のように消してしまう(ように聞こえる)装置が、ドルビー博士によって開発されたのだ。洗練された原理に基づくドルビーノイズリダクションシステムが登場した。皆が飛びつかない訳がない。その画期的な装置はスタジオの必需機器としてアッという間に世界中のスタジオに普及した。
さらに家庭用カセットレコーダーにも標準採用され、この「静けさ」の恩恵は世界のものとなった。
当初、業務用は精密なアナログ機器ゆえ管理が結構大変だったが、この素晴らしい装置を前に心底感動したものだった。

ドルビーシステムはその後、ひどい音、猛烈なノイズが当り前だったフィルム映画にも静寂をもたらし、さらに世界を広げて行った。
アナログからデジタルに変わった今も、ドルビー技術は進化し続け世界のエンタテインメントに貢献している。
ドルビーさんはノーベル賞をもらってもいいのに!と本気で思っていたこともあり、昨年9月氏が亡くなったとの報に、一言気持ちを綴りたかった。。(TOMAはドルビーラボの宣伝マンではありません)

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